第7章 挽回
「大倉さんって、ミスすることとかあるんですか?」
丸山さんの隣に座った大倉さんに、尋ねてみる。
「あるよ、それぐらい。
花音ちゃんって、俺のこと機械かなんかやと思ってへん?」
大倉さんは、ケラケラと笑いながら返してくれる。
「見たことないです、大倉さんがミスするところ」
「そら、バレへんようにしてるからやん。
さっきのすばるくんのミスのあと、俺もミスったんやで?」
「え、そうなんですか?」
全然気づかなかった。
「まぁ、俺はギターとかと違うてミスっても平気やから。
ギターとか歌やと、ミスるとすぐ分かるやん?
音が濁ったり不協和音になったりして」
「確かに、そうですね」
特にギターは、音が目立つからミスも目立つ。
ベースは音が小さめだから、ソロじゃない限りはあまりミスが目立たない。