第6章 豪華なディナー
ってアカン‼︎
好きになったらアカンねん。
そんな惑わせんといてや…。
「私…どうしたの?」
「寝ちゃってたから、お開きになって今家まで送ってるとこやで」
「送っ…え?」
「場所、教えてくれへん?
やないと、タクシーで行けへんやん」
「あ、そうですね…場所は…」
と、素直に場所を運転手に告げる花音ちゃん。
警戒って言うものを知らないよね。
取って喰われそうな子やわ。
最近、つくづくそう思う。
「そういえば安田さん、どうして分かったんですか?」
「?何が?」
「その…好きな人…」
「あぁ、渋…んっ⁉︎」
名前を言おうとしたら、手で口を塞がれた。
「言わなくて良いです」
「照れてんねや。
慌てるってことは、合ってるんやろ?」
「…は、はい」
プイッ、と顔を逸らす花音ちゃん。
「なんでって、そんなん簡単やん。
花音ちゃん、いつも目で追ってるやん。
彼のこと」
嫌がってるみたいやし、名前を伏せて会話する。