第6章 豪華なディナー
「とにかくヤス、ケモノには気いつけぇよ」
渋やんの意味深な言葉で、タクシーの戸が閉まった。
どう言う意味やったんやろ、あれ。
ケモノって…この辺りに出るんかな?
物騒やなぁ…。
「ん…」
僕の隣で身じろぐ花音ちゃん。
チラリ、と隣に目を向けると…。
気持ち良さそうに眠る花音ちゃんが居た。
「無防備やろ…」
僕やって男やで?一応。
寝てるって分かってても、なんだか男として意識されてへんみたいに思える。
胸元のはだけた服に、スカートが少し捲れて見えている白い脚。
花音ちゃんが好きなんは、渋やんなのに。
頭では分かってるけど、見れば見る程目が離せない。
タクシーが信号で止まると、カクンと花音ちゃんの頭が揺れた。
「痛…」
目はまだ虚ろで、ボーッとしてる花音ちゃん。
「起きたん?」
「…へ?安田、さん…?」
キョトン、と目を丸くする花音ちゃん。
そんな表情も可愛ええ。