第6章 豪華なディナー
「そっか、ならええや。
今のは気にせんといてな」
「分かりました」
渋やんが、前々から花音ちゃんに好意持ってたのは知ってたし。
けど、手ぇ出してへんてのはちょっと意外やなぁ。
見るからに、花音ちゃんも渋やんのこと好きなのに。
渋やんは人のそういう気持ちに敏感やから、とっくに気づいてると思ってたわ。
相手の気持ちさえ分かれば、誰だって告白するやろ?
両想いなんやから。
「花音ちゃんて、好きな人居るん?」
そんなの渋やんやって分かっとるけど、やっぱり本人の口から聞いた方が信憑性あるやん?
「え、な、なんでそんなこと聞くんですか?」
明らかにキョドってる花音ちゃん。
「あ、その反応は居るってことやね」
と、ちょっとイタズラっぽく笑う。
「え、ち、違いますよ」
「目ぇ逸らさんといて」
と、顔ごとこっちを向かせる。
「あ…」
目が合うと、顔が赤くなっていく花音ちゃん。