第5章 そんな顔しないで…
「あの。私は
お母さんの連れ子だったらしくて、
それでその、お父さんとお兄ちゃんとは
血が繋がってないんです。
夏休み中に本当のお父さんに
3人で会いに行ったんですけど、
末期ガンで…
そのあとすぐに亡くなってしまって。」
櫻井「そうだったんだ。
そんなことになってたなんて知らなかった。
一言で言うのもあれなんだけど…
辛かったね…。頑張ったね。」
そう言って、先輩は優しく私を
包んでくれた。
先輩の鼓動は、なんだか落ち着く。
もちろんドキドキもするけど…。
暫くするとどちらからともなく
離れた。そして、
櫻井「よし。サボろう!
ほら、行くよ!」
「え!え!」
そう言って先輩とカバンも持たず
学校を飛び出した。