第4章 夏なのに…
櫻井「えー!」
「えー!って!笑
先輩も同じこと聞いたじゃないですかー!」
櫻井「可愛くて、そんで…1年生で、
友達の…妹。」
その言葉を聞いた瞬間、思考回路停止。
櫻井「ごめん、好きなんだ。」
真っ赤になりながらも、でも、
目線をそらさずにまっすぐに
見つめてくるその目に、
私も答えたいと思った。
「…私も、です。
お兄ちゃんの親友さんが好きです。」
伝えることが出来ない、
そう思っていた気持ち。
すると、先輩は「ふぅー。」と息を吐いて、
向かい合ったまま、
私の左手を先輩の右手で掴んだ。
心臓の音が
聞こえちゃうんじゃないかってくらい、
私の心臓はどくどくと波打った。
こんなに幸せな日があっていいんだろうか。
水族館にはカップルがいっぱい。
さっきまでは、いいなーって見てたのに
今はそんなの気にならなくなっちゃった。
そのまま手を繋いで、
私と先輩はぎこちなく、でも
今まで以上に濃い時間を過ごした。