第2章 H27.8.2. 火神大我
朝6:30、眠気を必死に払いながらドアを開ける。
夏休みの外は蝉の鳴き声が酷くうるさい。
だけど、朝早いとまだ涼しいのがとても気持ちいい。
そっと吹いた風がまだボーっとする頭をスッキリさせる。
「あ、おはよう大我」
「おはよ…」
家を出るとそこにはもうスッカリ見慣れた人、俺の初恋の相手であり初めての『彼女』がいた。
「…って、なんでいるんだよ!!」
「え?」
「え?じゃねえよ!こんな早くに!1人で!」
夏の朝は明るいとはいえ、人は少ない。
それなのに、女の人である彼女が1人でこんなとこまで来て…。
「大我に会いたくて」
「んなっ…?!」
「あと1人じゃないんだけどね」
「え」
「おはようございます、火神君」
「うおぁっ?!」
久しぶりに驚いた。黒子で。
まあ、とりあえず1人じゃないならいい。
「大我」
「ん?」
「行こ、学校」
「あ、おう」
「じゃあボクはこれで」
「え?先行くの?」
学校に行こうとすると、黒子が俺達の前を歩き始めた。
行き先同じなんだし、一緒に行きゃいいのに。
「別の方が良いかと思いまして」
「え、なんで」
「…まぁ、いいじゃないですか」
「うん、わかった。また後でねテツヤ」
「はい」
「え、あ、おい」
なんでこうなったんだろうか。
さんと黒子が一緒に来た時点で、何かあるんだろうということはわかるが、その "何か" がわからない。
少し仲間外れにされた気分だ。
「そんな落ち込まないでよ大我」
「なっ、別に落ち込んでねーし!」
「嘘つけ」
「嘘じゃねっての!」
…とは言っても、秘密ごとってのは気になるもんで。
「…なんなんだよ」
「教えてほしいの?」
「ま、まぁ、教えてもらえるなら」
「ふふ」
「なんだよ?!」
隣で笑う彼女は先輩とは思えないほど無邪気な顔をしている。
まぁ、先輩と言ってもたった一つだけだけど。
けど生徒会とかバスケ部に指導に来たりとかしてる時に比べたら可愛らしい、こんな顔を近くで見れるのはちょっと得した気分だ。