第1章 H27.8.31. 青峰大輝
そして現在。
久々にまともに話をする2人は未だ気まずさが残ったまま。
そこで黒子と桃井が協力し、どうにか話が出来る機会を作ったのだ。
「…今もやる気は相変わらずだけどよ」
「ん…」
「やっぱバスケを離れることは出来ねーし、なんかもうちょいで色々と整理つきそうな感じするから」
普段は絶対に言わないような事を必死に考えて話す青峰の声は昔の彼のようで、は涙が流れるのを必死に堪えた。
「だから、もうちょい待っててくれるか」
「…え」
「だからその……ああくそっ!」
「ひっ」
「や、悪りぃ…えっと…」
突然の大声に肩を震わせたを見て慌てる青峰は、いつものやる気の無い男に見えない。
それはきっと、相手がだからだろう。
「とりあえず俺は…に心配かけるようなことはもうしねぇ。だから安心して待っとけ」
青峰はを抱き締める力を少し強くした。
「…えらそう」
「あん?!」
「でも…」
そしても青峰の服を掴む力を少し強くした。
「ありがとう…」
「…おう」
そうしてやっと体を離した2人は顔を見合わせ笑い、戻ろっか、とケーキと紅茶を持って部屋に戻った。
すると、待っていた黒子と桃井が「もう心配無さそうですね」と安心したように微笑み、も笑顔を返した。
青峰は照れた様子で何も話さないが、それは肯定の意を表していることが彼らにはわかった。
「さっ、ちゃんの手作りケーキ食べよう!」
「そうですね」
「ふふ、今年も気合入れちゃった」
「そりゃ楽しみだな」
もう彼らに最初の時の気まずさは無い。
そしてあの頃に戻ったように、全員が笑顔だった。
「「「ハッピーバースデー!青峰君!」」」
青峰君、君から笑顔が消えた時、僕は君に何もしてあげられなかった。
だけど、もう大丈夫です。
僕と、桃井さんと、彼女と、3人でまた、あの頃の君の笑顔を取り戻してみせます。
誰よりもバスケが大好きで、誰よりも一生懸命練習していて、誰よりも強かった。
あの時の君の眩しい笑顔を。
僕を救ってくれた君を、彼女を救ってくれた君を、今度は僕達が。ー
2015.08.31.
Happy Birthday to Daiki...