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Birthday Novel

第6章 H27.7.7. 緑間真太郎


スッと差し出された紙
綺麗に揃えられた手
規則正しく巻かれたテーピング
細長い指

彼の全てをいつの間にか好きになっていた。



『はい。とても似合っていました』



そう書かれた文字はとても綺麗で、丁寧で、でもどこか力強い。
今隣に座っている彼は、本当に2つ下の男の子なんだろうか。



『またかけてきてください』



横をチラリと見てみると、耳まで赤くして俯いている。
確かに年下の男の子だ。
初対面から大人びた彼を見て、高校生らしいところが見たいと思ったのが始まりで、今やっとそれが見れた。



「メガネ、ないとダメかなぁ」
「え」



ボソリと呟いた言葉は、隣に座る彼には聞こえているだろう。
ただ、意味まではきっとわかっていない。
自分の気持ちには素直なのに、周りの気持ちにはとても鈍い。
それが彼の良いところでもあるのだけれど。

そして私はそんなところも含め、このたった3ヶ月でこんなにも彼を好きになったのだ。



「今日は七夕だね」
「…はぁ」
「緑間君のお願い、叶えてあげる」
「?」



今日のおは朝占い、私の星座は1位。
ラッキーアイテムはメガネ。



「今日はダテメガネだけど」
「…それも、似合います」



話せるだけでラッキーなんだけど、七夕だしあと一つだけお願い。



「緑間君、…私とお付き合いしませんか」



話し合いがかなり盛り上がっているのか、周りは騒ついている。
私の消えそうな声は届いているのだろうか。

するとスッと伸びてきた左手が私の右手に重なった。



「……オレで、良ければ」



慣れていないんだろうか、手汗ひどいよ緑間君。

熱い手も真っ赤な顔もなんだかとっても愛しい。
だけどそんなに赤くしてちゃ周りにバレてしまうよ。
なんて思いつつ追い討ちかけるようで申し訳ないんだけれど、



「真太郎くん」
「なっ」
「誕生日おめでとう」



あなたが私を見ていたのは知っています。
だけどそれ以上に私の方が見ていたのをあなたは知らないことでしょう。
誕生日は同級生で君の先輩に聞いたんです。
近いと知った時はとっても焦りました。
結局何も用意できなかったけれど、今私があげられる最大級のプレゼント。



「好きです、真太郎くん」




2015.07.07.
Happy Birthday to Shintaro..
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