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Birthday Novel

第4章 H27.7.20. 及川徹


「海行こ〜」



7月20日。今日は海の日。
だからか、さっきから海行こうってうるさいんだよな。



「焼けるからヤダ」
「じゃあプールでいいからさ〜」
「プールも焼けるし」



別にうるさいだけならいいんだけど、ベッタベタくっつかないでほしいんだけどな…。
暑いから。



「いいじゃん!愛しい愛しい及川クンの誕生日だよ?!ワガママの一つや二つくらいさぁ」



そう、今日は一応彼氏である及川徹くんの誕生日である。



「じゃあ交換条件」
「なに?」
「どんな姿になっても笑わないこと」
「当たり前じゃん!愛しい愛しいの姿を笑うわけない!」
「どーだか」



出会ってから6年、付き合い始めて4年、同棲を始めて3年。
大学生になってから彼の甘えはエスカレートしている。
特に今日は誕生日だから仕方ないのかもしれないけど、22歳になったんだからもう少し大人しくしてほしい。



「そんなに俺って信用ないの?」
「だっていつも笑うじゃん」
「それはちょっとからかってるだけだよー」



くっついているせいで、セットされていない髪が腕を撫でてくすぐったい。
バレーしてる時はカッコいいのになぁ…なんて、言えば調子に乗るから言わないけど。

それより私が海を嫌がるのは、水着になるからだ。



「の水着姿、そろそろ一回くらい見たいんだけど」
「後悔するよ絶対」
「しないってー」



あんな体型丸出しのもの、恥ずかしくて嫌だ。
だからずっと断ってきたが、今年はどうもしつこい。



「絶対かわいいし。ね?」



でも、こんな風に強請られると少し揺らぐ。
どうも、及川くんのこの甘え上手に私は弱いようだ。



「…笑ったらすぐ帰るから」
「わかった」



結局私が折れて、海へ行くことになってしまった。
隣で鼻歌を歌いながら運転をする及川くんを見やると、視線を感じたのか目が合った。



「なに?」
「いや…、どうせ濡れるのに髪の毛セットするんだね」
「そりゃあ、あんなので外に出るわけにはいかないでしょ?」



私はあの自然な感じの方が好きだけどな。



「そういうだって」
「私は頭から濡らさないもん」
「えー、楽しもうよ。せっかくだし」
「んー気分が乗ればね」



まぁ、私しか見れない姿だからそれはそれでいいんだけどね。
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