第2章 【氷室辰也】熱いカキ氷
氷室side
蝉の声、焼けるような熱い陽射し。
夏真っ只中の今、俺は自宅で彼女の後ろ姿を眺めていた。
「持って来ちゃった!」と言って、カキ氷を作る機械を見せたはエプロンを着てキッチンに。
氷を削る音が少し涼みを与えてくれる。
「出来たよ!はい!辰也はブルーハワイね!」
「ありがとう」
差し出されたカキ氷は陽の光を反射させて綺麗に光っている。
見た目からも涼を感じ取れるカキ氷。夏によく食べるというのも納得だ。
「溶けないうちに食べよう?」
「そうだな」
俺のはただのブルーハワイ、のにはいちごに練乳がかかっている。
それを美味しそうに頬張る彼女。
目尻を下げている顔を見ているだけで和むのだが……
ここで悪戯心が芽生えてしまう。
「俺のも食べる?」
「ん!うん!」
「はい、あーん」
「へ?!」
普段は明るい。
けど今みたいにいかにも恋人同士がする行為になると凄く照れ屋になる。
俺が差し出したスプーンの先を、頬を染めながらジッと見つめている姿は可愛い。
「ほら、食べないと溶けるよ?」
「いっ、いいよ……!私自分で……」
「口開けて?」
そんなを見るのが好き。
だから俺は「もう!」と怒る彼女を無視して意地悪をする。
いつもが折れる事はなく、俺が最終的に強行する形になるのだが……
その先もまた、俺の心を激しく揺さぶる程は可愛くなる。
「仕方ないな……なら俺が食べるよ」
「う、うん」
これだけでは、諦めた俺がカキ氷を食べただけに聞こえるだろう。
けど俺はちっとも諦めてはいない。
ホッと安心して油断しているに近付いて、こちらを向いてもらえるように顎を取った俺は……
「んっ……」
の唇にそっと温もりを重ねた。