第2章 Kaboooooom!!!(爆豪勝己)
ヒーロー科の教室に発目明がやってきたのは、帰りのHRが終わってすぐのことだった。工房通いの彼女は彼女らしく学校という場に相応しくない、つなぎの作業着姿であって、堂々たる足取りで廊下から教室内へとドアから一歩。踏み込んできたその顔は両腕に抱えている自身の発明品『ドッ可愛い私のベイビーたち』の山により確認が取れないけれど、溌剌とした声でこんな挨拶をしたからきっと晴れ晴れとした表情をしているんだろう。
「こんにちは!私の飯の種たち!」
「発目さん……」
一気に静まる教室の中、声をかけたのは一番近くに立っていた緑谷出久だ。「相変わらず、だね」
「あぁ緑谷さん!?」彼女の腕の中の物たちも、挨拶をするようにがしゃんと景気の良い音を立てた。
「ちょうど良かった!見てくださいこれ前に言っていた案のプロトタイプガカンセイシタンデスケレドゼヒアナタノイケンヲオキキシタクテデスネ!!!」
「えええ、ちょっとタンマ!」
捲し立てられると同時にヨイショと机に積まれる、目新しいメカの数々に緑谷は目を白黒させる。途方も無い情熱と集中力によって生み出される発目の『前に言っていた案』というのは、果たしてどれほど前のどの案を指すのだろうか。
「催涙ガンKB-M3!」
返事を待つより早く、紛争地帯の兵士が持っているようなゴツい銃を発目が両手で持ち上げる。「従来の爆弾型ではなく銃型にしてみました。手で投げるより命中率が高く飛距離も稼げますよフフフ」
はい見てください、ココ!と説明する彼女の瞳が放つ輝きは、新作の製品をアピールするセールスマンというよりも、デカいカブトムシを見つけた小学生男子のそれに近い。