第8章 21:06 ”黒尾鉄朗”は拾われる。【R18】
あの雨の日以来、私は一人暮らしのアパートに鉄朗を連れ込んだ。鉄朗は高校生の癖に私よりもたくさんの物を持ってる、そんな気がしてしまう。
打ち込める部活
おまけに主将
幼馴染
ライバル
お酒やタバコの味を知らないくせに、鉄朗は私の前を歩いているみたい。でも、そんな彼の側にいると自分も”色々持ってる人”、になったみたいで安心できた。
『鉄朗はなんでうちに来るの?』
可愛くない猫の柄のマグカップに入れたカフェオレに口をつける。鉄朗が私の誕生日にくれたマグカップだ。
いつも、ブサイクな猫!って言ってるけど、本当はちょっと気に入ってるのは鉄朗には内緒。
「が呼ぶからじゃねーか。」
『呼んだら何処にでも来るの?』
「さあな。」
鉄朗はソファーに座った私の膝に顔を埋めて、まるで猫みたいにベタベタしてきて、しっくりした態勢を探したかと思うと、私の首に腕を回して引き寄せ、キスをした。
「就活は?」
『、、、うるさい。』
昨日の夜までは、説明会に行く予定だった。だけど朝になって、いざリクルートスーツに袖を通すと、急に気分が暗くなって、身体が石みたいに重くなって動けなくなってしまったのだ。
『私さ、何やってるんだろ。』
「なんの話だ?」
『スーツまで着たのにさ。』
考えるだけで自分が嫌で嫌で仕方なくなる。胸がぎゅーと苦しくて、息がつまるみたい。
「俺とスーツでセックスする為。」
そう言って鉄朗は起き上がって私を簡単に抱き抱えて、ベッドまで連れて行く。
鉄朗がギシッとスプリングを軋ませて、ベッドに乗る。そして、私に跨ってTシャツを脱ぐと筋肉をしっかりと纏った身体が目の前に現れた。ガッチリとした肩周りに、引き締まった腹筋。無駄な脂肪なんて全然ついていないのに、身体は大きく大人の男の人みたい。
ジャケットのボタンを外して、ブラウスのボタンに手をかける。
『鉄朗、シワになっちゃうから、、、』
「いいだろ。今日はちゃんとコスプレ着エロプレイを楽しむんだよ。」
コスプレとか皮肉?
「嫌な事全部忘れるくらいめちゃくちゃにしてやるから。」