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A Necessity Named Chance

第1章 出会い


 ここはとあるビルの屋上
 私はビルの端に座っている
 風が気持ちいい
 このまま落ちれば私は、楽になれるのかな

「待ってくれ。早まるな」
 私が立ったところで男性が私に話しかけた

「どんなに辛いことがあったのかわからないけど、死んじゃうと今までの頑張りが水の泡だよ」
 私は笑った。そしてその男性に向かってこう言うんだ

「もしかして、私が飛び降りようとしてると思ってる?そんなわけ無いじゃない」

「じゃあなんでそこに立ってるんだ」

「それはね、ここの景色が綺麗だからよ。下から見たら見上げなければいけないものも、ここからなら見上げなくていいの」
 私は嘘を並べる。私の人生は嘘ばっか。だから最後の最後まで、嘘を並べるんだ

「私は飛び降りないわ。だから、ほっといてくれるかしら?」

「じゃあ、こっちに来て」

「何故、私があなたのところに行かなければいけないの」

「それはそのままそこにいたら、落ちる可能性があるからで」

「私の勝手にさせてくれればいいじゃない!初めて会ったあなたには関係ないはずよ」
 少し、感情的になってしまった。冷静に、冷静に

「普通はそうかもな。でも今の俺には関係がある。今日はここで、撮影があるんだ」

「あなたも大変ね。別に止めなくてもいい人を、仕事の為に止めないといけないなんて」
 私を止めに来るということは下の方の人でしょ?

「俺が来たのは撮影のためだけではない。例え知らない人の命でも、守りたいんだ」

「良い人のふり、してるんじゃないわよ!」
 良い人のように見える人ほど、裏切るのよ。あの人だってそうだった

「そっか。随分と大変だったんだね、今まで。でもこれだけは言えるよ、俺は今まで君が出会った相手とは違うよ」
 男性は分かりきったように言う。何も知らないくせに

「よくそんなこと、自信を持って言えるわね。私とあなた、今出会ったばっかりだというのに」

「君を見ていたらわかるんだ。きっと出会った人が悪かった。君はとても純粋で、優しい人だ。そんな君をここまでにしてしまうなんて…」

「出会いなんて悪くないわ。私が悪いのよ。私が信じたから全て壊れてしまったの。私が、私が全て悪いの……」
 私は泣きそうになる。泣くところを見せるわけいかない。最後まで笑っていないと

「キャッ」
 油断していた。私は男性に腕を引っ張られ腕の中にいる
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