第3章 兄弟
数日後
城が騒がしくなる
どうやら大将のお父さんが来る、とか
私も何処かそわそわと落ち着かなかった
「宮…」
涼やかな声が私を呼ぶ
「どうしたのじゃ?何やら落ち着かぬようじゃが」
帰蝶さんが心配そうに私を見上げた
くぅ、相変わらず可愛らしい
「あ、いえ…大将のお父上様がいらっしゃるとの事で…少し緊張を」
そう告げれば、あぁ、と納得したように頷かれる
「そうじゃったな…そう言えば、殿がおらぬと何やら騒がしかったの」
「え?殿いらっしゃらないのですか?」
サブローらしいと言えばらしい
確かに事前の知らせはなかったけれどそんな、いちいち出掛けなくてもいいのに
「散歩でしょうかね」
隣の帰蝶さんは複雑な表情を浮かべる
「…わたくしも殿と行きたかった」
抱きしめ様と伸ばしかけた手を抑えるために息を止めた