第2章 殿
城の廊下は長く、そして軋む
キシキとあまり音を立てないように歩こうとすれば自然とすり足になる
ドサッ
何か大きなものが高いところから落ちてくる音がした
何事だ
慌ててそちらへと走る
そこに居たのは恒興ちゃんとサブローと…帰蝶さん
帰蝶さんはサブローの下敷きになっている
「き、帰蝶さん!?」
私の声にサブローが一瞬顔を上げてそれから下を向く
下敷きにした彼女に気が付いたのだろう
慌てたように上からどいた
「めちゃめちゃ可愛いじゃないっすか!」
四つん這いのような体制で帰蝶さんを見るサブローに頭が痛くなる
今は大将、信長さんの振りをしてるんだからもうちょっとさ、あるでしょう?
「誰?」
それに続く言葉に私は一瞬固まった