第12章 -初恋-(二口堅治)
-すみれside-
ガシャシャン…っ‼︎
「きゃ…っ‼︎」
慌てて自転車を止める。
うわぁ…最悪だ…。
自転車のチェーンが外れてるうえに
タイヤがパンクしてる。
今日はツイてない。
せっかくやった
宿題のノートも忘れたし、
お昼休みには、
お弁当ひっくり返しちゃったし。
塾では大量の宿題出るし。
塾で自習までして勉強頑張ったのに、
最後の最後にこんな仕打ち…⁈
おは朝のラッキーアイテム
持ってこなかったからかなぁ…。
でも、狸の信楽焼なんか
持ってないし!大きすぎるし!
そんなのちゃんと
持つ人いるなら、見てみたいよ。
って、そんなこと
考えてる場合じゃなかった。
せめてチェーンだけでも、
直せないかなぁ。
自転車を端に寄せ、
外灯の明かりを頼りに
しゃがんでチェーンと格闘する。
外灯の明かりがあるとはいえ、
もう22時を過ぎていた。
あまりよく見えない。
ガチャガチャ…
ガチャガチャ…
もう少し…かな…
「…何やってんだよ?」
「えっ⁈」
突然、頭の上から声がして、
思わず上を見上げた。
夢中になりすぎて、
誰かが後ろにいたなんて、
まったく気付いていなかった。
わたしの後ろにいたのは、
わたしがこの世で1番苦手な…
意地悪で怖い…
わたしのこと大っ嫌いで
わたしの初恋の人…
幼なじみの二口堅治だった。
「あ…あの…えっと…」
どうやって喋ればいいんだろ…
やっぱり今日は最悪だ…。