第11章 -恋心-(及川徹)[後編]
-すみれside-
その日の夜…
また及川からメールがきた。
『昼休みのこと、謝らないよ。
信じてもらえないと思うけど、
オレ、本気だから。
バレーシューズさ、
来週の練習試合まで
すみれちゃんが持っててくれる?
自分で持ってると練習しちゃって、
岩ちゃんに怒られちゃうからさ。
よろしくね。』
今日のメールは…
♡マークがついてなかった。
軽く…ないと思った。
及川の気持ちがわからない。
”ずっと好きだった”ってなに⁈
じゃあ、なんで…
なんで橋本さんと付き合ってたの⁈
ピロン♪
メール⁈及川⁈
慌ててメールを見ると、
中学時代の親友…道宮結からだった。
『久しぶり!
来週、ウチの男バレ、
青城と試合なんだってー?
わたし行けないけど、
澤村たちの応援よろしくね(笑)
あとね、久しぶりに
すみれのクッキー食べたいなぁとか
言ってみたり〜(笑)♡』
メールを読み終わると同時に、
気がついたら結に電話をしていた。
「結ーっ‼︎」
「すみれ⁈どうしたの⁈泣いてる⁈」
電話の向こうで結が慌てている。
「わたし…わかん…ないよ…」
結のメールを見て甘えが出たのか、
わたしはまた泣いてしまっていた。
「ど…どうしたの⁈落ち着いて‼︎
ね‼︎ほら!話なら聞くから!」
支離滅裂なわたしの話を、
結は途中で口を挟むことなく、
最後まで聞いてくれた。
「うーん…それはたしかに…
よくわからない…ね。」
「でもさ!」
「ん?」
「やっぱりわからないなら、
ちゃんと及川くんにもう1回
聞いてみるしかないんじゃないかな?」
「えっ⁈まぁ…そうだけど…。
それが難しいんだってーー。」
思わず泣き言を言ってしまう。
「でも、聞かなきゃわからないし、
モテるしチャラいのかもしれないけど…」
「えっ⁈いや…まぁ…チャラいけど…
あ!いい奴だし、マトモな時も…」
「あはは♪すみれ、
自分でわかってるんじゃない♪」
…‼︎
思わず電話口で黙ってしまう。
結だって澤村のコトになると、
乙女なくせにーー。
でも、結のことばで元気出た!
「うん。ありがと。」
ちゃんと…及川に話を聞こう!
結にお礼のクッキー焼かなきゃな♪