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〜Lemon Candy Story〜

第10章 -恋心-(及川徹)[前編]


「及川⁈どうしたの⁈」


部活が終わり、部室に戻ろうとしたら、
第三体育館の入口の脇に
岩泉に支えられている及川がいた。


「あ〜すみれちゃん♪」


岩泉に支えられているのに、
及川は岩泉の顔の前で手を振り、
いつもの及川スマイルを
見せてくれていた。


「おいっ‼︎くそ川〜っ‼︎」


そして、もちろん
及川に岩泉の鉄拳が飛ぶ。


わたしは苦笑いして
見ているしかできない。


でも、今日は岩泉も
少し手加減しているようだった。


「あはは…
情けないトコ見られちゃったなぁ。」


及川は岩泉の肩につかまったまま
ヘラヘラしていた。


「どうしたの?ケガ⁈」


「ちょっと捻っちゃったみたいでさ。」


「…ったく。オーバーワークだろ。
先生たちもいないっつぅのに。」


「ごめんごめん。」


「応急処置したの?」


ヘラヘラしている及川は無視して、
岩泉に聞く。


「いや…これから。
オレ、先生に連絡してくるから、
お前、ココでおとなしくしてろよ?」


「はいはーい。」


及川はゆっくり座った。


「じゃ、わたし、救急箱あるし、
及川見張りついでに、
ココで応急処置しとくよ。」


「ちょっ⁈すみれちゃん⁈
その言い方…」


「わりぃ。檜原。助かるわ。」


岩泉はそう言うと校舎へ向かった。


「ふぅ。岩ちゃん、オーバーだなぁ。」


ペチン‼︎


「いた〜っ。」


「オーバーなのは岩泉じゃなくて、
及川でしょ⁈ほら、足見せて?」


わたしは及川の頭を軽く叩いてから、
及川の足元に座り、足首を見た。


少し…腫れてる…。


「でも、すみれちゃんに
手当てしてもらえるなんて、
ラッキーだなぁ。」


ドキッ…。


「はいはい。」


誰にでも言うようなセリフ吐かれても
ちっとも嬉しくない。


…自分にそう言い聞かせる。


「コレ…捻挫だね。えっと…」


救急箱から冷却スプレーを出し、
腫れてる部分に吹きかける。


「で、とりあえず…」


「ちょっ⁈すみれちゃん⁈」


わたしは及川の頭を支え、
及川をその場に寝かせた。


キレイな顔…。


「…♪なんか…キスできそう♪」


「バカッ!」



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