第1章 -勉強-(月島蛍)
「…なんで食べちゃうのさ?」
黙っていた蛍がやっと発した一言。
拗ねたように言う蛍は、
やっぱり可愛くて、
わたしはついふふっと笑ってしまった。
「蛍がいじわるだからー。」
蛍はいつもショートケーキの
イチゴは最後に食べる。
ちょっと可哀想だけど、
わたしのコト困らせたおかえしだもん。
「ふぅん。いいよ、別に。」
あれ?意外と怒ってない?
「もっといいモノもらうから。」
そう言うと蛍は
突然メニューを広げ、
わたしたちの顔の横に持ってきた。
「…?また頼むの?
ゴメンてば…そこまでしなくて…⁈」
…チュ。
「…っ⁈蛍…⁉︎
こ…ここ‼︎人…たく…さん…」
突然手を引かれたかと思ったら、
次の瞬間、
メニューの陰でキスをされた。
「わかってるよ。
だから、隠れたんでしょ?」
蛍はメニューを元に戻し、
何事もなかったかのように、
アイスティを一口飲んだ。
「しょうがないから、今日だけは、
すみれに付いてたクリームで
我慢してあげる。」
………っ⁉︎
蛍に…かなう気がしない。
わたしはこれからも
この年下彼氏に
翻弄されちゃう…のかな。
悔しいな…
でも、やっぱり好き。
---End---