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〜Lemon Candy Story〜

第44章 -運命-(及川徹)[中編]


-及川side-


熱いシャワーを浴びながら、
考えるのは彼女のコトばかりだった。


彼女…檜原すみれの第一印象は、
キレイな人…まぁ、好みのタイプではあった。


華やかで男慣れしてそうな。


でも、意外にも、
オレの冗談に本気で嫌悪感を表に出す
堅物さんだった。
(仮にも招待客の”受付”としていたのに‼︎)


あずみと黒尾くんが二人でいるトコに
一緒に遭遇した時は、気の強い女だと思った。
けっこうなことばを浴びせられたし…
岩ちゃん並みの力で頬を殴られたし…‼︎


もう二度と会うコトはないと思っていたのに、
黒尾くんの後任としてまさかの再会…。


名刺交換のときに悔しそうな顔を
隠そうとしているのが、いじらしく見えた。


正直、女の担当は期待していなかったのだけど、
彼女との打ち合わせは、
彼女となら仕事がしたい…
そう思わせてくれるものだった。


初顔合わせだったのに、彼女は、
それまでのコトが
キチンと頭に入っていたし、
彼女の発言はとても魅力的だったから。


綺麗・堅物・気が強い・暴力的…
という彼女の印象に、
仕事がデキる…も追加された。


どれがほんとの彼女なのだろう?
なんでこんなに彼女が気になるのだろう?


シャワーのお湯を止め、
バスルームを出てからも、
思考回路には彼女のコトしかなかった。


打ち合わせが終わって
エレベーターに乗った時、
彼女が真っ先に
あの景色を褒めた時はドキッとしたし、
あの景色を気に入ってくれたのは嬉しかった。


嬉しいような淋しいような…。


淋しいのは、ちょっとだけあずみを
思い出したからだろうな…。


黒尾くんもいたし…。
あずみも…






ガタッ…ドンッ‼︎‼︎



え…?なんの音…??




とりあえず、
彼女が目を覚ましたコトに間違いない。



眠り姫が、
王子のキスもなく勝手に目を覚ますとは…。




さすが気の強いお姫さまだ。





オレはバスルームを出て、
リビングに向かった。


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