第41章 -教師-(赤葦京治)
「え…?ぁ…」
プツンと緊張の糸が切れ…
わたしはそのまま床に
ヘナヘナ〜と座り込んでしまった。
「…っ⁈はぁ…言ったそばから…。」
さっきまでの妖艶な赤葦先生ではなく、
いつもの赤葦先生に戻ったみたいに、
赤葦先生はため息をつきながら、
スーツの上着を脱いで、
わたしの膝に掛けてくれた。
「あ…赤葦先生…?」
「そんな風に座ったら、
スカートの中、丸見えですよ?」
「…っ⁈」
脱いだばかりの赤葦先生のスーツは、
まだ赤葦先生の温もりがあって、
さっきみたいに
赤葦先生に触られているみたいで、
また頬が赤くなってしまう。
「生徒の立場にたって、生徒と
触れ合うコトはとても大切なコトです。」
赤葦先生はそう言うと、
わたしの前にしゃがみ込んだ。
「でも…生徒とはいえ、
特に男子は…立派な男ですし、
ヤりたい盛りの健全な男子高校生です。」
「な…っ⁈」
マジメな顔して赤葦先生は
とんでもないコトを言い出した。
「で、でも、わたしは教師だし、
そんな年上の…」
「教師にも男はたくさんいますよ?
男子高校生よりも、
ヘンタイなオヤジがわんさか…(笑)」
赤葦先生はクスクス笑いながら、
平然と言ってのける。
「赤葦先生も…」
「なんですか?」
「赤葦先生も…
ヘンタイなオヤジなんですか?」
「…?ははっ(笑)オレ?
そうなのかもしれないですね(笑)」
赤葦先生は心底おかしそうに
大笑いしていた。
赤葦先生…こんなふうに笑うんだ…
「檜原先生…」
「…っ⁈」
赤葦先生はわたしの視線に気づいたのか、
ジッと見つめ返してきた。
「ぁ…あの…⁈」
「さっきも言いましたけど…
こんな格好してこれ以上、
他の男を誘惑しないでください。」
…チュ。
赤葦先生は今度はわたしの頭に手を伸ばし、
そのまま唇を重ねた。
「誘惑するなら、
オレだけにしてください。」
「…⁈」
「檜原先生の着替え、取ってきます。
ココでおりこうに待っててくださいね。」
ゆ…誘惑してるのは赤葦先生です‼︎
そう言いたかったのに何も言えずにいると、
赤葦先生は、わたしの頭をポンポンとして、
そのまま数学準備室を出ていってしまった。
---End---