第37章 -好み-(黒尾鉄朗)
「好みっつぅか、
すみれの彼氏、オレだから。」
「やっぱりそうでしたか。」
「だよなぁ。」
オレのことばに納得顔の赤葦と澤村…
「はぁぁぁ⁈すみれーー‼︎」
そして、木兎の叫び声だけが
夜の学校にこだました。
「クロ‼︎まだ皆には言わないって…」
「もういーじゃん。
つぅか、オレ、我慢できねぇもん。」
「”もん”って…」
すみれと付き合い出したのは、
今年の4月から。
でも、全国目指してる真っ最中…
一応主将とマネだし、
オレとすみれは2人で相談して、
付き合ってるコトは、
誰にも言っていなかった。
「すみれさん、大丈夫ですよ。
皆に黙ってても、木兎さん以外は
気付いてましたから。」
「え…?」
赤葦のことばに
ポカンとしてオレを見上げるすみれ…
「あぁ。ウチの連中も
最初に宮城で練習試合した時から
気付いてたな。
お子ちゃま組以外だけどな。」
「ウソ…」
追い打ちをかける澤村のことばに
すみれはどうしよう〜と
1人で焦っている。
「別に悪いコトしてるんじゃねーし。
バレてるなら、いーじゃん♪
これからは、
堂々とイチャイチャしよーぜ♪」
「す…するわけないでしょー⁈」
すみれはスッと
オレの腕の中から抜け出した。
「こら!待てって!」
でも、オレはすかさず
すみれを捕まえ…
「ま、そーゆーわけだから♪
おまえら、すみれに手ぇ出すなよ?」
…チュ♡
オレはすみれにキスをした。
「ク…ク…ク…クロッ!!」
口をパクパクさせて、
真っ赤になってるすみれが可愛すぎる。
「すみれ〜〜〜」
オレらのキスを見て、
まだまだ叫ぶ木兎。
とりあえず、
こいつを牽制できたのはよかったな。
でも…
「ク〜〜〜ロ〜〜〜ッ‼︎」
真っ赤になってる
オレの可愛いすみれが…
今はちょっとだけ怖いかもしんない。
---End---