第37章 -好み-(黒尾鉄朗)
「んーあとは森然と生川かー。」
合同合宿の夜…
めんどくせぇけど
主将メンバーで打ち合わせ。
「さっさと終わらせて
早くトランプやろーぜー‼︎
合宿の醍醐味だろー?」
「木兎さん、
コレ終わったらウチが風呂です。
そんなことしてる暇ありませんよ。」
「あれ?
主将だけでよかったんだよな?」
24時間テンション高い木兎の
手綱を取る冷静な赤葦に気付いた澤村が、
やべ…スガに声掛けてねぇべと、焦り出す。
「澤村くん、大丈夫だよー。
赤葦くんは木兎の付き添い♪
保護者だから(笑)」
「すみれ、ひっでー‼︎
すみれだって
黒尾の付き添いだろー?」
「はぁ?違いますー‼︎
今日は初日だから、マネも参加なんですー。」
「は⁈マジ⁈
じゃあ、ウチのマネコンビは
どこ行った⁈」
「あー。ちょうど風呂の番
まわってきたから、
ちょっと遅れるって言ってました。」
いちいちうるさい木兎に
たんたんと答える赤葦…。
ほんとこいつがいてくれて助かったわ。
「清水さんと谷地さんは
お風呂終わってたから、もうすぐ来るよ。」
すみれも烏野マネちゃんズについて
説明する。
「はー⁈風呂っ⁈いーなー‼︎オレもっ‼︎」
「木兎…おめぇは何を考えてんだ?」
その場にいた全員、白い目で木兎を見る。
「いや…まぁ…ちげぇよ‼︎
その…な‼︎…あ‼︎あれ⁈
すみれももしかして風呂あがり⁈」
「え⁈」
木兎のことばに
今度は全員がすみれを見る。
もちろん白い目ではなく、好奇の眼差しで…。
「え?うん。
まぁ…お風呂あがりといえば
お風呂あがり…なのかな。
清水さんたちよりちょっと早かったけど。」
すみれは普通に
Tシャツにジャージだったけど、
髪が乾ききってないし、
部活中は結んでいる髪をおろしていて、
なんだか幼くてどこか
隙のある感じがしていつもと違う。
「おい‼︎」
「ん?なぁに?クロ?」
「いや…別に。」
いちいち風呂あがりとか言うなよ…
と言いたいところだが、
そんなことは今は言えず…
ただごまかすだけで終わってしまう。