第31章 -冷静-(赤葦京治)
そして、その日の夜、
晴れてすみれと
付き合うコトになった夜だが、
夜寝る前の電話の相手は、
すみれではなく、
トサカヘッドのあの人だった。
『よう♪おめでとー♪』
『何がですか?
用がないなら切りますよ?』
予想はつくけど、自分からは言わない。
『なんだよー?素直じゃねーなー。
すみれちゃんとやっと
付き合うコトになったんだってー?
今度ダブルデートしよーぜー?』
『遠慮しときます。』
『そんなこと言うなよー。
ちえりとすみれちゃんは
ノリノリだったぞ?』
…っ⁈はぁぁ。
これはそのうち、
ほんとにするコトになるな…
ダブルデート…
『にしてもさ、
やっぱすみれちゃんて、
胸デカかったのな?』
『は⁈何言ってるんですか?』
『いーよなー。あ!そりゃ、
ちえりが1番可愛いぞ?
でもな、アレは、
やっぱ、男のロマンだよな♡』
なんでそんなコト…?
『何か見たんですか?』
『あ!しょーがねーなー。
送ってやるよ。』
黒尾さんは、通話しながら、
メッセージアプリに
何かを送ったらしく、
オレも通話状態にしたまま、
いったんアプリを開いた。
…なっ⁈
送られてきたのは、
すみれと橘さんの
2ショットの写メだった。
でも、ただの写メじゃない。
2人は水着姿だった。
しかも、すみれは、
セットのものを着ていない状態で、
さっきオレが見たままの胸元が
そのまま写っていた。
『ちえりが送ってきたんだよ♪
なぁ、ここだけの話、
すみれちゃんて何カップなの⁇』
そんなこと、
今日付き合うコトになったのに、
オレが知るわけがない。
『黒尾さん、コレ消してください。』
オレは静かに黒尾さんに言う。
『えーー?もったいねー。
ちえりだっているんだし、
いーじゃねーか。』
はぁぁぁ。
奥の手…使うしかないか。