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〜Lemon Candy Story〜

第31章 -冷静-(赤葦京治)


「は…?」


ポカンとした京治が、
ビックリしてわたしを見つめていた。


でも、溢れ出した気持ちは
もう止められなかった。


「京治はいっつも冷静っ‼︎
なんでもわかったように
いっつも最低限のことばで、
人を傷つけないように
その場をやり過ごすけど‼︎
言いたいコトあるなら、
ハッキリ言えばいいじゃないっ‼︎」


一気にまくし立ててしまい、
ハッとする。


京治はジッと黙って、
わたしを睨むように強い視線で
見つめていた。


「あ…ご…ごめ…」


「じゃあ、正直に言わせてもらう。」


「え…?」


”ハッキリ言えばいい”
そうは言ったけど、
やっぱり本人に
面と向かって言われるのは…



…ギュ。



え…?手…?


突然、京治が
わたしの手を握ってきた。


「本音を言うなら、すみれの
その水着姿を他の人に見せたくない。」


「けい……じ…?」


「だから、できれば、
海には行ってほしくない。」


ずっと目をそらさずに、
まっすぐわたしを見て言う京治…。


思わずわたしのほうが、
目をそらそうとしてしまうが、
京治はそれを許してくれなかった。


わたしの目を捉えて離さないまま、
京治はことばを続ける。


「そんなオブラートに包まなくても…」


「…なにが?」


「似合ってないし、
おなかプニプニしててヤバイから、
上着ろとか言ってたんでしょ‼︎
自分でもわかってるもん‼︎
だから、ちゃんとセッ…」


「はぁぁ。」


「京治、やっぱりひどいっ!
ため息ばっかり‼︎」


京治は、今度は呆れたように
ジッとわたしを見つめたあと、
視線をわたしの顔から下げた。



え…?京治が見てるのって…



「すみれはなんか勘違いしてない?
すみれくらいなら、
全然太ってるなんて思わないし、
正直、胸のほうがよっぽどヤバい。」


「えっ⁈なっ…⁈」


わたしは思わず胸元を腕で隠した。


「はぁぁ。
そういうのが男には”目の毒”…」


…っ⁈え…?
じゃあ、さっき言ってたのって…


「そんなの着て、
誰を誘惑するつもりだったんだ?」


思わず素直に
ことばがポロリと出てしまう。


「京治…」


「…っ⁈⁈」


でも、わたしも真っ赤だったけど、
京治はわたし以上に
真っ赤になっていた。
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