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〜Lemon Candy Story〜

第30章 -翻弄-(金田一勇太郎)****


さすがに今日はあの後、
先輩たちからドヤされ、怒られ、
監督やコーチにも、
「部活中は切り替えろ」と注意され、
オレは少し凹んでいた。


帰り道…
先輩たちと分かれると、
最後は国見とオレと
すみれの3人になる。


すみれは変わらず、
オレの隣にいてくれた。


別れるコトにならなくて、
それだけは本当によかった…と、
凹んでた気持ちが
少しだけ明るくなった。


「ねぇ、なんでケンのコトで
別れ話になるまで思いつめてたの?」


そうだ‼︎


すみれと別れずにすんだとはいえ、
まだ”すみれのケン”の問題は
解決していなかった。


「それは…国見から聞いた…
ケンさんはすみれの大事な男だって・・・」


「え…?ケン?」


すみれは目を見開いて、
オレを見上げたあと、
呆れながら、スマホを取り出した。


「もう‼︎なんでそうなるの⁈
ケンはウチで飼ってる犬だよ。ほら…」


すみれがスマホの写メをオレに見せる。


そこには立派なドーベルマンの…
ケンが写っていた。


「な…っ⁈い…犬〜っ⁈」


オレはなんとも言えない気持ちになって、ただただ唖然とするだけだった。


「プッ…ククッ…」


「く〜に〜み〜〜〜っ‼︎‼︎」


「嘘なんて言ってねぇよ。
ケンはすみれの
大事な男であるコトに変わりねぇし。
ケンはオスだし」


イタズラ顔した国見に
今日は異常に腹がたった。


「だからってだなぁ⁈オレはそん…」


「勇くんっ‼︎」


オレがさらに文句を言おうとすると、
すみれにグッと腕を掴まれた。


「勘違いだったけど、
すごくすごく嬉しかったよ。
ありがとう、勇くん!」


…チュ。


「…っ⁈あっ!すみれっ⁈」


すみれはグッと掴んだオレの腕を
そのまま引っ張り、
オレの頬に…キスをした。


さっきまで余裕で
イタズラ顔してた国見ですら、
うっすら顔を赤くしていた。


オレはというと、
うっすらどころじゃねぇ…
もう…沸騰寸前だ…


「勇くん♪」


なのに、すみれは
また追い打ちをかけてくる。


「あとでちゃんとキスしようね♪」


すみれに耳元で囁かれ、
オレは完全にショートしてしまった。



---End---

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