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〜Lemon Candy Story〜

第26章 -残業-(黒尾/岩泉/花巻)


-すみれside-


「あ‼︎つ…着いたよ‼︎ほら‼︎コッチ‼︎」


「(慌てすぎだろ…)バーカ‼︎こっちだろ?」


う…またやってしまった‼︎
恥ずかしいっ‼︎


岩泉に手を引かれ、
そのまま目的のお店に行くと、
2組待っていたけど、
そんなに待たずに入れそうだったので、
そのまま並ぶコトにした。


”おまえ、いつまで”岩泉”って呼ぶ気だ?”


岩泉が質問したとき、
ちょうど5階に着いてしまったので、
返事をしていないけど…


わたしだって呼びたいけど、
緊張しちゃうんだもん!


「お次のお客さまどうぞ〜。」


すぐにわたしたちの順番になり、
端っこの少し隔離された席に
案内された。


「へぇ…キレイな店だな。」


岩泉はジャケットを脱ぎながら、
お店の中を見回していた。


わたしもトレンチコートを脱いで、
ハンガーを取ろうとしていると、
岩泉がスッとハンガーを取ってくれた。


「すみれ?なんか付いてるぞ?」


「え?」


岩泉の視線を辿る。


「あっ‼︎や…やだっ‼︎」


トレンチコートのタグに、
クリーニング屋さんの
紙が付いたままだった。


「コ…コレ、昨日おろしたの‼︎
うわぁ…恥ずかしいっ!!」


わたしが慌てて
クリーニング屋さんの紙を外すと、
岩泉がひょいとトレンチコートと
ハンガーをわたしから奪い、
岩泉のジャケットの隣に掛けてくれた。


岩泉の大きなジャケットの隣に
トレンチコートが並んで掛けてあるだけでなんだか嬉しかった。


でも…クリーニング…


あぁ…もう‼︎
ちゃんと確認したのに‼︎
ほんとに恥ずかしいよぅ‼︎


「なーに気にしてんだよ?」


「え?」


わたしがうつ向いていると、
岩泉が思いもよらぬコトを言った。


「さっきのオレのほうが
よっぽど恥ずかしいだろ?」


あ…たしかに…ううん…でも…!


「でも、わたしのほうが恥ずかしいよ!」


「いや!オレだろ?」


「わたしだってば…‼︎」


「「…ははっ‼︎」」


わたしたちはまた同時に笑った。


「同じだな。」


「うん‼︎お揃いだね、ハジメ!」


「…っ⁉︎(今かよ…⁈)」


このお揃い事件で、
わたしは一気に緊張が解れ、
わたしは”ハジメ”と呼べるようになった。


---End---


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