• テキストサイズ

〜Lemon Candy Story〜

第26章 -残業-(黒尾/岩泉/花巻)


「岩泉ーーー!今日目標何時〜?」


PCから顔をあげ、
わたしの正面に座る岩泉に声を掛ける。


「あん?まぁ…21時…だな。」


「えー⁈じゃあ、わたしは
20時45分にしよーっと♪」


現在時刻は20時半。


今日は他の先輩も課長も帰ってしまい、
気がついたら残業しているのは、
フロア全体で、
わたしたち2人だけになってしまった。


同期の岩泉とは、他の同期も含めて一緒に飲みに行ったり、会えば話はするし、連絡先も知ってはいる。


でも、部も違うしそれだけの関係だった。


それが今年から
同じ部の同じグループになり、
わたしの会社生活は一変した。


毎日目の前に岩泉が座るし、
外出すれば電話がかかってくるし、
メールのやりとりも増えた。


仕事だし、岩泉の返信はそっけないけど…。


それでも、たまに仕事の延長で
休みの日にも連絡を取ったり、
営業先に一緒にまわることもある。


辛くて大嫌いな会社も、
岩泉と同じグループになってから、
毎日が楽しくて仕方ない。


同期で同じ部、同じグループ…
それだけの繋がりだけど、
わたしは岩泉のコトが…好き。


仕事をしながらも、
ついPC越しに岩泉を盗み見してしまう。


岩泉の今日のネクタイ…
1番好きだなぁ…


あ…なんか考えてる。


岩泉、考え事する時、
すぐ左手で耳触るんだよね。


「…い…おい‼︎檜原!」


「え⁈あ…なぁに⁈」


盗み見をしてるつもりが、
思いきり岩泉と目が合ってしまった。


「何、ボーッとしてんだよ?」


「え…⁉︎あ…ちょっと…えっと…
か…考え事…‼︎」


わたしはしどろもどろ返事をした。
岩泉を見てたなんて言えない…。


「はぁ…。そんなんで終わんねーなら、
置いて帰るからな?」


「え⁈ヤダ‼︎それはヤダ‼︎」


さすがに会社の最終戸締りを
たった1人でするのは怖いし、
心細そすぎる。


「じゃ、ボーッとしてねぇで、
さっさと仕事片付けろよ?」


「…はーい。」


ま、岩泉は優しいから、
なんだかんだで置いてかないだろうけど。


わたしは気持ちを切り替え、
残りの仕事に取り掛かった。


/ 579ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp