第23章 -キス-(花巻貴大)
「き…嫌ったりなんか…。
でも…花巻くん、ちょっと怒ってたし、
キスしたあと…謝るから…
衝動的というか…
気持ちは…なかったのかな…って思って…」
…ギュ。
「は…花巻くん⁈」
オレは力いっぱい
すみれちゃんを抱き締めた。
「紛らわしいことしてごめん!
ちょっと…岩に妬いてたっつぅか…。」
「え?岩泉くんに?」
キョトンとして
オレを見上げるすみれちゃん。
か…可愛すぎるっ!
「すみれちゃん、岩と仲良いし、
シュークリームあげてたし…。」
「そ…それは…」
「つぅか、先に言わないで、
オレに言わせろよな?」
「え?」
「オレもすみれちゃんが好き‼︎
大好き‼︎キスしたのだって…
好きじゃなきゃしねーよ。」
オレはもっと力を込め、想いを込め、
すみれちゃんを抱き締めた。
「すみれ?」
オレは”すみれちゃん”と呼ぶのをやめた。
「花巻くん?」
「そこは”貴大”じゃねーの?」
「た…貴大…」
すみれの顔を覗き込むと、
すみれは小さな声で呼んでくれた。
「ん…合格♪すみれ…好きだ…」
…チュ。
オレはもう一度すみれにキスをした。
衝動的ではなく…想いを込めて。
---End---