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〜Lemon Candy Story〜

第22章 -名刺-(月島明光)


-明光side-


久々に地元の駅から家に向かって歩く。
地元はもちろん好きだ。


でも、やっぱり地元に帰ると、
楽しかったコトも苦しかったコトも
まとめて一気に思い出す。


ちょっと苦しいほうがまだ多いかな…


「あれ⁈蛍⁈」


「に…兄貴?」


柄にもなくセンチメンタルな
気持ちになっていると、
曲がり角のトコロで弟と遭遇した。


「あれ…?月島さん⁈」


「檜原さん⁈」


家に帰る途中に蛍に会うだけなら、
たいしたことないのだが、
蛍と一緒にいた女性に驚いてしまう。


「なに?知り合いなの?」


ポカンとしてるオレと檜原さんの横で、
珍しく蛍も少しだけ驚いたようで、
オレたちを交互に見て口を開いた。


「なんで蛍と檜原さんが?」


普段スーツかジャケットを着ている
檜原さんしか見たことなかったが、
檜原さんはジャージを着ていて、
いつもおろしていたり、
少し巻いている髪は、
今日はポニーテールにしていた。



か…かわいい…。



「蛍…?月島くんの…お兄さん?」


「そうですけど。」


あ…やべっ…。


いつもと違う檜原さんに
見惚れてる場合じゃなかった。


愛想のない返事をする蛍に変わって、
オレは慌てて説明をする。


「あ、これ、オ…ボクの弟です。
蛍、檜原さんは
オレの取引先の担当の方なんだ。」


「へぇ。」


「あの…なんで蛍と檜原さんが…?」


オレがもう1度聞くと、
蛍がたんたんと答える。


「すみれさんはコーチの同級生で、
元バレー部マネ。で、その繋がりで、
土日だけ手伝いに来てくれてる。」


「え⁈檜原さん、烏野なんですか⁈」


「はい。月島くんちと実家が近いので、
月島くんがいつも帰り送ってくれていて…」


…っ⁈


”いつも送ってくれている”


そのことばに、なぜだか、
嫉妬のような感情が生まれてくる。


「え?ウチと近いんですか?」


「はい。お花屋さんの手前のほうで…」


「うわぁ…なんか偶然ですね。」


「ねぇ、家近いんだし、
とりあえず歩きながら話さない?」


「そうだな。」


「あ、ほんとだね。」


冷静さを取り戻した蛍に促され、
その日は3人で帰った。


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