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〜Lemon Candy Story〜

第16章 -背中-(岩泉一)


久しぶりに日曜日が部活休みで、
はじめちゃんと2人で映画を観に行った。


誘ったのはわたしだし、
2人きりだからって、
はじめちゃんは
なーんとも思ってないんだろうけど。


それでも、わたしは、
デート気分で嬉しくて、
今日は新しい靴をおろした。


でも、それがいけなかった。


新しい靴だけど、ペタンコ靴だし、
試着した時は平気だったし、
行くときも平気だったのに…。


帰り道、電車乗るまでは、
そこまで痛くなかったのに、
地元駅から歩き出した途端、
急激に痛くなってきた。


両足とも靴擦れしてしまっていた。


「すみれ?」


いつもはわたしばかり喋るのに、
わたしが黙っていたからか、
急にはじめちゃんが立ち止まった。


「なぁに?」


「…歩くのおせぇ。」


…‼︎…ヤバ。やっぱり遅いと思うよね。


「ごめんごめん。
ちょっと疲れちゃって…。」


「つぅか…。」


「ちょっ⁈はじめちゃん⁈」


突然はじめちゃんが
わたしの足元にしゃがみ込み、
わたしの靴下を下げた。


「やっぱり‼︎靴擦れ、いつからだよ?」


…⁈バレてたんだ。


「…映画館出たくらい?」


わたしは気まずくて、
思わず疑問形で答えてしまう。


「はぁ⁈そんなんすぐ言えよ!
絆創膏買うなり、休憩するなり、
なんとかできただろーが‼︎」


「だって…。」


だって、せっかくデートみたいなのに、
靴擦れとか…なんだか情けないし、
雰囲気台無しなんだもん…。


「はぁ…。」


はじめちゃんは呆れたように
ため息をついて立ち上がった。


「…ごめんなさい。」


そりゃため息つくよね。
呆れるよね…。



「はぁ…しょーがねーな。」


…⁈⁈


「はじめちゃん⁈」


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