第2章 -瞬間-(花巻貴大)*
しばらくそのまま走り、
気がついたら、駅を越えていた。
「花巻…くん?」
「あ…。」
手は繋いだまま、
わたしと向かい合うように立って、
花巻くんは立ち止まった。
「ゴメン。なんていうか、
色々考えてたら走りすぎたな(笑)」
わたしの好きなあの笑顔で、
花巻くんは笑った。
「で、さっきの続きだけど…」
「え⁈」
さっきの続きって…それって…
「あの…つまり…うぁぁぁっ‼︎
ダメだっ。色々考えたけど、
やっぱシンプルが1番だよな!うん!」
…?
花巻くんは独り言?を言うと、
わたしの肩をギュッと持った。
「すみれちゃんが好き!
オレの彼女になってください。」
「…っ⁈花巻くん…っ。」
「つか、もう
あいつらに宣言しちゃったし♪」
「さっき…怒ってるのかと…」
「え⁈どのへんが⁈
ぜんぜん怒ってねーけど?」
花巻くんはキョトンとしていた。
「わたしと一緒にいるトコ、
お友達に…
見られたくなかったかな…って…」
「えっ⁈違う違う!逆だって。」
「逆?」
わたしが聞くと花巻くんは大きく頷く。
「あのうるさいヤツいたろ?」
「…?うん。」
「及川っつぅんだけど…
まぁ、バレーはうまいし、
信頼してるけど…
あいつモテるし軽いし…」
「…うん?」
花巻くん、どうしたんだろ?
「すみれちゃんを
及川に見せたくなかったの!」
「えっ⁈⁈」
わたしは今日
1番真っ赤になってると思う。
「そんなわけだからさ…」
ふと花巻くんを見ると、
花巻くんも少し赤くなっていた。
「さっきの答え、聞かせてよ。」
そんなの…答えは決まってる。
「わたしも…花巻くんが好き。
花巻くんの彼女になりたいです。」
「マジっ⁈やったぁ‼︎‼︎」
そのまま花巻くんに
ギュッと抱き締められた。
花巻くんの彼女になった瞬間…
それはとても幸せな瞬間だった。
---End---