第4章 人助けもほどほどに・・・
『いえ…ちょっとお手洗いに・・・』
本音と建前は使い分けよ。
「ここでしてもいいんだぞ?ほら、こんなに大勢の人に見られながら用を足すなんてなかなかねぇだろ。おじさんが手伝ってあげようか」
ちょっと待て、エロじじい。
お前の頭の中でどこがどーなってそんな結論に達した。
待て待て、帯に手をかけるな。
『ちょっと、やめてください』
ここはやんわりと押しとどめよう。
と思ってはいるものの、どうしても口調が荒くなる。
「なんだぁ!?こっちは親切心で言ってやってんだぞ」
いや、してくださいなんて誰も頼んでねぇし。
「ほら、遠慮することあるめぇよ。脱がしてやっから、な?」
そう言いながら、立て籠もり犯は私の着物を脱がそうとする。私はその手を思い切り掴んだ。
『触んなっつってんのが聞こえねぇのか?このクズ野郎』
私の豹変ぶりに唖然としていた引き籠り犯は、すぐに憤怒の表情に変えた。
「いい度胸してんな、お嬢ちゃん!!その綺麗なツラ、ぶち抜いてやる!!」
『へぇ?銃も持っていないのに?』
「な!?いつのまに!」
いつのまにって、さっきの間にですとも。
唖然としている間に盗ったのよ。
盗られてた事にさえ気付いてなかったってこと?
私は、銃。もといアサルトライフルを立て籠もり犯の額に突き付ける。
ヒッと情けない声をあげながら、立て籠もり犯は尻もちをついた。
『女だからってなめてんじゃないわよ』