第12章 菅原孝支3
部屋には俺の荒い息しか響かない。
あんなに激しかった行為が急に止まり、ある意味不安になる。
菅「…ッ…玲央…?」
思わず名前を呼んだ。
びくり、と身体を震わす玲央。
下を向いていた玲央がこちらを見た。
菅「…っ!」
はらはらと玲央の頬を滑り落ちる涙。
思わず手を伸ばそうとしたけど、縛られているため出来ない。
『っ…俺を、好きになって…』
"嫌いにならないで"
"離れないで"
"俺を愛して"
顔をぐしゃぐしゃにさせながら、子どもみたいにそう言う玲央。
ドクン、と心臓が鳴った。
菅「…玲央、手…取って…?」
そう言えば壊れ物を扱うように、ゆっくりと解かれる縄。
自由になった腕で玲央を引き寄せ、そっと唇を重ねた。
驚く玲央の額に自身の額を当てる。
菅「言ったろ…"玲央のものになる"って。俺、もう玲央のだよ。だから…」
"好きにしていい"
俺の身体を貪り出す玲央に全身の血液が沸騰するような感覚を覚える。
これは薬のせい。
そう思いながらも、俺の中の何かが堕ちたのは…自分でもわかった。
…Fin.