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君のためなら。

第2章 影に潜む悪夢


体育館では、靴が床と擦れるキュッという独特の音が鳴り響いている。重々しい扉を開けば、汗とゴム臭さが混じった匂いが南雲の鼻を襲う。

「ぅおっ…あはは、懐かしい匂いだなぁ……。」

南雲がスリッパを脱いで体育館に入ると、今度は部員たちの元気のいい挨拶が返ってくる。

「いやいや、すみません南雲さん。急に呼ばれて、大変だったでしょう。」

優しそうな顔の校長が横から現れそう言うと、南雲の前で軽く頭を下げた。そんなことはないと言いながら、南雲は同じように頭を下げる。

「それに、なんで僕みたいなのが呼ばれたのか…まだ不思議に思っているくらいで。」

苦笑いをしながら頬を掻き小さく溜息を吐く南雲を見て、校長は笑った。
それから暫く体育館の端で話していると、校長が一人の部員を手招きした。赤髪で小柄な男子部員が、Tシャツの襟元で汗を吹きながら小走りで此方に来た。

「彼は、この部で一番この部の事を分かっている赤司征十郎君です。分からないことがあれば、この子に聞くといいですよ。」

校長に紹介された赤司は、南雲を見ながら礼儀正しく頭を下げた。顔を上げて姿勢を正してから、赤司は軽い自己紹介をした。
南雲も同じように軽く自己紹介をすると、赤司が体育館で練習をしている部員たちに声を掛け集合させた。

「此方が、前に言っていた新しいマネージャーの悠介さんだ。今日から練習を見てくれる、すいません、もう一度自己紹介をお願いします。」

「あ、えーっと…南雲悠介です。今日から皆と一緒にバスケ部の一員として、色々と取り仕切るので、何かあったら気軽に声をかけてください。」

精一杯の笑顔を作りながらペコッと頭を下げる、生徒達からはパチパチと拍手が送られる。照れくさそうに顔を上げて、もう一度軽く頭を下げてから、今度は部員たちが順番に軽い自己紹介をしていく。




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