第3章 【桃城ペダル】
「俺よ、昨日お前がその・・・俺にくっついてきたときすんげー緊張したんだぜ?」
「う・・・うん・・・」
「俺、すげードキドキしててよ、そしたらお前もドキドキしてんのが伝わってきてよ~」
「ん・・・」
桃城くんが赤い顔をしてそう言ってくれたから、私もあの時と同じようにドキドキしてきて、それから私の想い、ちゃんと伝わっていたんだな、桃城くんも同じ気持ちだったんだな、ってそう思ってますますドキドキした。
「だから俺、今日は思い切って告白しようと思ってたんだぜ?」
「え!?」
「そしたら彼氏出来たからもういいって・・・そりゃね~ぜ、そりゃね~よ~」
そういって桃城くんはまたうなだれて、はぁ~とため息をついたから、ご、ごめんね?と私は慌てて謝った。
「普通さ、負担になりたくないってならもっと他になんかあんだろ~?」
「えっと・・・そうかな?」
「例えばよ、・・・俺の部活を見て、終わってから一緒に帰るとかよ?」
「!!あっ~!桃城くん、あったまいー。」
私がそういって感心していると桃城くんは、そんなこと言ったのは小宮山が初めてだぜ、とまた大きなため息をついた。
「で、どうする?」
そういって彼は顔を上げて聞いてきたから、何が?と私が聞き返すと、彼は得意げな顔をして
「部活、見て帰るか?」
「うん!」
「よっしゃー!ダーンクスマッシュ決めてやるぜ!」
ドーン、と彼は私の顔を覗き込み、指さしして言ったから、ドーンって何?って聞いたら、効果音だって。
変なのって言ってクスクス笑ったら、そうか~?って彼もへへっと笑った。
そして私たちは一緒に歩き出だす。
カッコいいテニス姿を沢山見せてね?
それから自転車の後ろにしがみついて一緒に帰ろうね?
期間限定じゃなくてずっとずっとだよ?
「ね、桃城くん、大好き。」
「あぁ、知ってるよ。」
そんな私たちを夏の風が追い越して行った―――
桃城武編
「桃城ペダル」完