第11章 【epilogue】
「みんな、卒業しても油断せず行こう、乾杯!」
「「「かんぱーーーい!!」」」
かわむら寿司にみんな集まると、湯呑に日本茶で乾杯をする。
「卒業、おめでとう、ついでに英二もおめでとう。」
「だからついでかよ!!」
不二がクスクス笑い、菊丸がふてくされる。
そして店内に笑いが起こる。
カウンターで河村が寿司を握り、河村の彼女がテーブルに運ぶ。
すっかり若女将って感じだな、って誰かが言うと、はい、バカ女将じゃありませんよ~、と彼女が笑う。
河村のお父さんが手塚にビールを勧め、部長の・・・いえ、隆くんの友人の手塚です、と手塚が冷静に断る。
おやじ、それ前もやっただろ!と河村が突っ込み、大きな笑いが起こる。
「でも確かに手塚、ドイツに行ってまた一段と貫録でたんじゃないか?」
「そうだね、身体も一回り大きくなったようだよ。」
みんなが口々に言い、そうか、と手塚が答える。
「手塚はいつドイツに?」
「色々挨拶もあるからな・・・1週間後には戻る。」
その言葉に彼女の顔が一瞬曇るもすぐに笑顔に戻る。
大きな壁を乗り越え築いた信頼がある2人はきっとドイツと日本の距離も乗り越えていくだろう。
「俺は明日アメリカに戻るッス。」
「はぁ?」
越前の爆弾発言にマネージャーである彼女が声を上げる。
「あんた、今日急にあらわれて明日帰るって何言ってんの!?」
「だって、俺、部長と勝負しに来ただけだし。」
「別れてやる!こんなやつ、本当に別れてやる!!」
そんな2人に、まぁまぁ、と大石が止めに入ると、今度は反対側のテーブルで、桃城と海堂が寿司の取り合いを始める。
「マムシ!テメェ、よくも俺のあなごを!」
「うるせぇ、テメェはそっちのかんぴょう巻でも食いやがれ!」
そんな2人を彼女たちはいつもの事と無視し、海堂の彼女の弟と3人で仲良く寿司を頬ばっている。
「あー、もう!お前らいい加減にしろ!!」
大石が今度はこちらの体裁に入り、いつも騒がしくてすみませんと河村のお父さんに謝る。
そんな大石を尻目に、大石、不二、菊丸の彼女達が女子トークで盛り上がっている。