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【テニプリ】桜の木の下で

第10章 【菊丸ステップ】




◆出会い◆


彼女をはじめて見たのは、3年に進級した始業式の日。
掲示板でクラスを確認し、新しい教室へ向かう途中でのこと。



渡り廊下を横切ると、満開の桜が咲き乱れる中庭が目にとまる。


普段は素通りするところだけど、なんとなく足が向かったのは、俺の得意の気まぐれか・・・噂の桜の精に誘われたからかな?


・・・なんちゃって、にゃはは~。


あれ?誰も居ないと思ったら、あんなところに女の子?
大きな桜の木の下で、その桜を見上げている。


満開の桜・・・春風に舞い散る桜ふぶき・・・


風になびく柔らかそうな髪・・・
愛おしそうに桜を見つめる瞳・・・
小さく微笑む唇・・・


彼女の周りだけまるで時間がとまっているようで・・・


「綺麗だ・・・」


やべっ!!俺、思わず口に出しちゃった!
慌てて口を押さえたけれど、もちろん時既に遅し。
彼女はすんげービックリした顔で俺のほうをみてる。


えっと・・・えっと・・・なんて言い訳したらいいんだよ!
考えろ、考えろ、俺の頭・・・ってなんにも出てこない!
こんなことなら大石の言う通り、普段からもっと使っとくんだった!


「本当、綺麗ね・・・」
「えっ!?」
「桜・・・でしょ?」
「あぁ、うん、そう、桜!すんげー綺麗だにゃ~!!」


ふぅ~、彼女が勘違いしてくれて助かった。
初めて会った女の子に見惚れて、思わず口から飛び出した・・・なんてばれたら、さすがの俺でも恥ずかしい。


でも本当に綺麗な桜だ・・・
いまさらだけど、桜ってこんなに綺麗だったんだな・・・


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