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【テニプリ】桜の木の下で

第2章 【バカとテストと越前リョーマ】




「先輩、桜の木の伝説、知ってる?」
「え?・・・あの、桜の木の下で告白すると恋が叶うってやつ・・・?」
「その桜の木、コレらしいよ。」


リョーマくんはそう言いながら自分が寄りかかっている桜の木に触る。


「え・・・?」
「これで俺の恋、叶うんだってさ。」
「ええ!?」
「ま、そんな迷信、信じてないけど。」
「・・・・・」
「先輩の気持ちくらい、自分の力で手に入れるからね。」


彼がそう言って笑ったかと思うと、突然腕を引っ張られ、引き寄せられた次の瞬間、私の唇に柔らかい感触が走った。


え?・・・今の・・・まさか・・・?


「ぎゃぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!!」
「先輩・・・ムードなさすぎ・・・。」
「わ、私の・・・ファーストキス!!!なんてことするの!!!」


私だってファーストキスに甘い夢を抱いていたのに。
いつか素敵な彼とするはずだったのに!
こんな意地悪そうに笑っている小僧に奪われるなんて!


「・・・・返せ・・・」
「え?」
「返せ!今すぐ!私の大切なファーストキス!返せ!!!」


彼の胸倉をつかんで想いっきり揺さぶる。


「あんたはアメリカ育ちでチューチューしまくって育ったかもしれないけどね!私は純粋な大和撫子なんですからね!」
「しまくったって人聞き悪い・・・しかも先輩が大和撫子って・・・っていうかだいたい返せって言ったって・・・」


詰め寄る私に、困ったような顔でぶつぶつ文句を言っていた彼だけど、すぐになにかを企んだあの笑顔になり、じゃ、いいっすよ?と私の手を掴んだ。


「な、何する気・・・?」
「だって、返さないと。もう1回すれば返したことになるでしょ?」
「な、なるはず無いでしょ!!!///」


私は後ずさりするものの・・・時、既に遅し。
彼の腕はしっかり私の背中に回されていて、もう身動きが取れなくなっていて・・・


「か、返してくれなくても・・・いいよ・・・?」
「・・・やだ。」


結局、私はセカンドキスも奪われることになったのだけど、不思議なことに嫌な気持ちにはならなくて、今度は自然と目を閉じて、そのキスを受け入れたのだった。



桜の枝葉を揺らす初夏の風がとても心地よかった―――



越前リョーマ編
【バカとテストと越前リョーマ】完
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