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AO-HARU 〜HQ夢短編小説〜

第9章 6/13菅原孝支HB 〜君の見ている風景の先へ〜





扉についたガラス窓から白い日差しが彼女を照らして、逆光でその立ち姿は黒い紙を切り抜いたみたいに、強いコントラストで俺の目に焼きついた。



「?そこ、立ち入り禁止だべ?何やってんの。」


『、、、、見られた。』


「へ?」


『共犯者になってもらう。』


「はぁ、、、、、、?」



屋上に続く階段の上に立った彼女は、仁王立ちをして、訳のわからない事を言う。右手に持った金色のトランペットが日差しに強く反射して、俺は階段の途中にある立ち入り禁止のチェーンの手前でその鋭い光に顔を歪める。



「共犯者って、なんかやらかしたの?」


『違う、これからするの。』



差し出された彼女の手。

そっと自分の手を近づけると、は俺の手をぎゅっと掴んで引っ張り上げ、俺はその勢いで立ち入り禁止のチェーンを跨いで向こう側へ行った。



「これで共犯者だね。」


『ってそういうキャラだっけ?』



ニヤっと悪戯に笑った彼女は屋上の重たい扉を開いた。初夏の午後の強い日差しが俺の視界を奪って、景色は白くぼやける程に輝いて強い残像を残した。

テスト前で早帰りだっていうのにたまたま彼女に出くわしてしまった俺は、まんまと立ち入り禁止を破った共犯者となった。



「なぁ、ここバレたらやばいんじゃないのか?」


『うん、たぶんヤバイ。でもさ、なんか特別な感じになるじゃない?』


「ってもしかして不良?」


『ふふふ、、。そうなのかも。』



はトランペットに唇を押し当て、斜め上の青い空に向かって息を吹き掛けた。日差しに反射するその金のメッキと似た空気を貫くような鋭くまっすぐなその音は、よく知らない曲だけど、まるでファンファーレのような何かワクワクするようなそんな音。

トランペットを鳴らす彼女の、そのすっと伸びた背筋の緩やかなカーブに目を奪われた俺は、心のどっかでそんな事を思った。





そう、確かに俺はその時、何か、特別な気分になった。








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