第1章 (現パロ、サンジ)
りんは、車に乗り込みながら
運転席のサンジに訊ねた。
「どうしたの?」
「んー?りんちゃんの事だから、会社に傘忘れてるだろうなと思って」
にっこりと笑いながらサイドブレーキを解除して車を発進させたサンジ。
「…おかしいな。その通りなんだけど、嬉しいんだけど、腑に落ちない気がする。」
「あは。当たってた?」
「うん。…ありがとう。」
気を使ってくれて、と付け加える。
交差点で赤信号に捕まり、一時的に車をとめるとサンジは助手席に座るりんを横目でみた。
「おれって、『いいこ』だろ?」
「そうね。」
「じゃあさ、ご褒美は?」
いって、りんに顔を向ける。
言わんとしていることがわかり、りんは顔を赤らめた。
「いっ…家でねっ」
「えー、今がいいなぁ?」
「家でねっ!」
「外は雨だし、誰も気づかないさ」
「……家でねっ!」
「…だめ?」
首を傾げて、意地悪く聞いてくるサンジにりんは
「だめ!」
「…ちえー。後一押しだと思ったんだけどな」
サンジは楽しそう言いながら、顔を正面にもどす。
その瞬間、りんは身を乗り出して
素早くサンジの頬にキスをした。
「……りんちゃん!」
「ほらサンジ君!まえっあおっ!」
りんは赤かった顔をさらに赤くしながら促す。
その様子にサンジはくすりと笑いながら運転を再開した。
しばらく無言になった車内。
サンジが口を開く。
「ねぇ。りんちゃん」
「なぁに?」
「おれ、ウチにかえったら『悪い子』になってもいい?」
「……………」
無言を了承と捉えて、サンジは少し車の速度を上げた。
早く、帰るために。
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雨が振っていたので思い付いた話。
一発目なので軽いものにしました。