• テキストサイズ

【ハイキュー!!】木下久志短編集

第1章 【本当は】


そんな真島はやはりゲホゲホ言っていて、木下は内心オロオロした。

「あー、」

澤村が困ったように呟いた。

「これはどういうことだ。」

縁下が説明する。

「この人体育であまりひどかったのを気にして1人でこっそりバレーボールのサーブ練習してたそうです。」

縁下の言葉を聞いて木下はそういえばと思う。今2年生は体育の授業でバレーボールをやっているが運動が苦手な上に友達が居ない真島はゲームになる度サーブを失敗していて同じチームを組んだ連中からやや疎ましがられていた。自分は離れた所から見ているだけだったけど。

「で、俺らに見られたので逃げようとしたんですがどう考えても1人じゃ危ないと思ったので本人の同意を得て連れてきました。」
「嘘つけっ、田中に命令して捕まえさせた上にいいから来いとか言って無理矢理引っ張ってきた癖にっ。」

真島が抗議するが縁下はスルー、そんな真島と一瞬視線がぶつかり、木下は目をそらした。臆病な自分に嫌気がさす。

「そりゃ仕方ないな。真島さんだっけ、遠慮せずに途中までだけど一緒に行こう。」

真島はうーと唸った。

「真島てめ、大地さん直々のお申し出だぞ。」
「うるせぇぞ田中、こっちゃ複雑な心境なんだ。」
「往生際が悪いよ、真島さん。」
「成田にまで言われるとか何事なんだ、つかお前ボール返せっ、それ私物なんだよっ。」
「ダメ、転がったの追っかけるフリしてそのまま逃げるから。」
「それお前の意見じゃねーだろ、絶対縁下だろっ。」
「ああもう、ホント強情だな。」

縁下がため息をついた。

「木下、何とか言ってやって。」

完全に気を抜いていた木下はええっと飛び上がった。

「何でっ。」
「そうだそうだ、木下はかんけーねーだろっ。」
「俺らが何言っても真島さんが聞かないからだろ。」

言って縁下は木下にほら、と促す。木下は俺なんかに真島が動かせる訳ないだろ、と恨みがましく縁下を見るが縁下は気づいている癖に気づいていないふりをする。他の皆も見ていて木下は逃げられないことを悟った。足を震わせながら真島に近づき、言った。
/ 74ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp