第6章 【漫画サークル切込み隊長 その3】
その後の事である。
「どうした久志、何か機嫌良さそ気じゃねーか。」
男子排球部の部室にて珍しく西谷が何かを感じたように言った。野生の勘がなせる技か。
「別に、そんな風に見えたか。」
「おうっ、何かこー光ってるみてーな感じだっ。」
「訳がわかんねーよ。」
笑いながら返す木下の一方で成田と縁下がニコニコ笑いながら見守っている。まるで親か親戚のような雰囲気だ。
「うまくおさまったみたいだな、成田。」
「昼休みに真島さんとこ行って話してきたってさ。」
「そりゃ良かった。」
「それだけじゃ飽きたらずだったみたいでやっぱり漫画サークルのとこ付き合わされたけど。」
「漫画サークルの方はどうだったんだ。」
「真島さんが落ち着いたからまた窓開けてた。」
「良かった。」
「クソぅ、木下の奴真島とすっかり仲良くなっておるのか。」
「田中も意外と気が合うんじゃないか。」
「んな訳あるか縁下てめーっ。」
2年がそんな会話をしている間、日向が棚にある木下の鞄に目をやっている。
「あれ、木下さんまだあの冊子持ってる。」
「入れっぱなしにしてるだけじゃねーのか。」
「王様はホントバレー以外は考え方雑(ざつ)いよね。まぁ物好きだとは思うけど。」
「人それぞれだよ、ツッキー。」
そうして今日もこんな会話が聞こえる。
「真島、また何か描いてるのか。」
「ああ、文化祭向け冊子の漫画は終わったから珍しく1枚イラストだ。」
「へぇすげぇ、何でもやるなぁ。でも1枚もん言いながら背景にコマ割ってんじゃん。」
「う、うるさい、得意分野を活かしたんだ。」
「ものは言いようだな。でもさ、絵がちっと進化したんじゃね。」
「そ、そうか。」
終わり