第5章 【漫画サークル切込隊長 その2】
「じゃあ何でそんなに。」
更に尋ねる木下に会長は言った、描く事への憧れが強いんかも、ただ推測の域をでないけど。
「ああ。」
木下は呟いた。何となく真島に聞きたかった事がぼんやり見えてきた気がした。
木下が成田と一緒に男子排球部の部室へ行く前に漫画サークルの会長は良かったらこれと去年サークルが文化祭で配布したというコピーの冊子をくれる。ご丁寧に真島の漫画載ってるからと一言添えられる。礼を言って受け取った。
「木下さん、それなんですか。」
部室に到着すると先に来ていた日向が木下の手にある冊子を目ざとく見つけた。
「ああ、もらいもん。漫画サークルの。」
日向はマジでっと叫び話が聞こえていた月島が阿呆らしいと言った目つきをする。
「そんなもんがうちの学校にある事に驚きますよ。」
「ああでも、」
山口も口を挟む。
「1年でも入ってる何人かいた気がする。大人しい人ばっかですよね。」
ここで田中と西谷がブーッと吹き出すが縁下に睨まれて静かになった。
「でも木下、何でまたそんなの。」
東峰から不思議そうに尋ねられて木下はいやちょいととモゴモゴ言ってごまかす。が、菅原があ、と言った。
「何か最近仲良い女子いるって噂だけどその子絡みか。」
「ちょっ。」
木下はビクーッとするが当然それでは肯定しているのと同じである。
「意外な組み合わせだな。」
とうとう主将の澤村までもがハハハと笑いながら言い出した。
「やめてくださいって。」
焦る木下に影山が木下さん、と言った。
「その人の事好きなんすか。」
「ちげーからっ。」
普段恋愛何それ食えるのかみたいなノリの影山にまで言われてはたまらない。木下は顔を真っ赤にして握っていた冊子をその辺に置いてから高速で着替えにかかった。
その3に続く