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【ハイキュー!!】木下久志短編集

第2章 【従妹とキーボード】


木下久志の2つ下の従妹である真島優子はわりと音楽が好きな方で親がピアノを習わせていた。家に行けば優子はちょくちょく従兄にこんなの弾けるようになったと聞かせてくれる。ピアノの事はよくわからなかったけど嬉しそうに弾く従妹の姿を見るのは嫌いではなく、木下は密かに楽しみにしている節もあった。しかしそれは優子がどういう訳か自分を久兄(ひさにい)と呼び、慕ってくるのと無関係ではないかもしれない。

「久兄」

そんな従妹はとある休みの日、木下宅にやってきた。

「あ、優子。」
「遊びにきた。」
「お、おう。お前が連絡なしに来るなんて珍しいな。」
「急に思い立って。」

言う優子は傍に何だか細長い物を抱えている。見た瞬間に楽器かな、と木下は何となく思った。

「まぁそれなら上がってけよ。」
「お邪魔しまーす。」

優子は言ってぴょこぴょこと嬉しそうに木下の後をついていった。

「で、お前それ何だ。」

家に入り、優子を自室にあげてやった木下は早速従妹が持ち込んだブツについて尋ねた。

「キーボード。」

キリッとしたノリで答える優子に木下はハ、と首を傾げる。

「間違ってもパソコンに繋ぐ奴じゃないよ。」
「見りゃわかるわっ。」

思わず突っ込む木下、従妹がわかっていてわざとボケるのはたまにどうにかならないか考える事がある。

「何でまたそんなもん。お前ピアノあるだろ。」
「ピアノは持ち歩けないもん。音量も細かく調整出来ないから夜にちょっとなんか弾きたいって思った時に弾くわけにもいかないし。」
「まーそれはわかるけどよ。」

よく優子の親が買い与えたもんだと木下は思う。優子はひとしきり説明が終わったのでゴソゴソと問題のキーボードを入れていた袋から取り出した。

「かっこいいでしょ。」
「お、おう。」

どっちかってえと可愛い、の気もするけどと木下はその端がラウンドになっている形状を見て思う。

「あ、そういやこの色久兄のユニフォームに似てる。」
「まさかお前」
「流石にそれ目当てじゃないよ。」

表は黒、裏はオレンジの色の組み合わせは確かに木下が所属する烏野高校男子排球部の公式戦用ユニフォームに似ている。オレンジの色合いが少し違うけど。
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