第6章 相合い傘。
渋「まだ鳴ってんな…」
玄関口には渋谷くんと私しか居ない。
雷は少し遠退き
さっきよりは雨足も弱くなっていて
電気もついたから
帰るなら今やろ、と
先に図書室から出て行った渋谷くんを
追うような形でここまで来た。
これくらいの小雨なら走って帰れる。
地元の高校を選んで正解やったわ。
「あ、あの、」
渋「ん?」
「さ、さっきはありがとうございました…じゃあ、帰ります」
と、お辞儀をして背中を向け
駆け出そうとしたら「待たんかい、コラ」と後ろから襟元を掴まれる。
こんな止め方おかしい。
普通、肩とか腕掴むんやないの?
私は猫さんちゃうで。
むしろ、猫さんはあなた。
「な、何でしょうか…?」