第9章 好きなタイプ。
「あの、」
渋「何?あ、これか?」
と、音楽室へ向かう廊下を歩きながら
持ち上げて見せてくるのは
しっかりと繋がった2つの手。
もうそれは今更やと思う。
ちょっと慣れてもうたし。
(握られ過ぎて)
「違います、」
渋「なら、何?」
「………なんでトイレの前に居たんですか」
渋「迎えに行けって中原が」
「香絵ちゃんが…?」
渋「変な男に絡まれたらどうすんのよって言われて」
「え、なんかすみません…」
渋「かまへんかまへん。ちょうど相談があったから」
「…私にですか?」
渋「他に誰が居んねん」
「で、ですよね。私も相談…と言いますか、協力していただきたい事がありまして…」
渋「協力…?それは俺でえぇんか?」
「………友達である渋谷くんにしか言えないんですが」
渋「………協力って……恋、とか…?」
言い当てられて
頷くしか無かった。
(渋谷くんにエスパー疑惑発生)