第2章 見た目。
「すばるくーんっ!」
理科の授業もSHRも終わり
帰る用意をしていたところへ
渋谷くんを呼ぶ
嬉しそうな声が教室に響いた。
その声の持ち主は
隣のクラスの錦戸亮くん、かと。
確認しないのは
彼にも怖さを感じているから。
「帰ろー!今やったら、雨止んでるで!」
「…………せやな」
後ろから、ガタッと椅子の引く音がした後
2人の声が教室から消える。
途端に全身の力が抜けた。
理科の授業中から今までずっと
また、背中をつつかれるんちゃうかなって
後ろへ全神経を集中させていたから。
疲れたぁ…
お風呂入った後
じっくりストレッチでもしよう。
やから、早くみんな帰ってー!
鍵、閉められないからー!
なんで雨の今日に限って日直なのー!