第9章 好きなタイプ。
「………失礼します」
足を踏み入れた途端
嫌な緊張で気持ち悪くなる。
めっちゃ嫌やけど
香絵ちゃんがネチネチ
言われなくて済んだんやし…
ちょっと我慢すれば良いだけの事。
そうやん。
我慢してれば
香絵ちゃんがネチネチ言われる事も
毎回、着いて来て貰わなくて済んだんやんか…
何気に見た窓の向こう。
どんよりとした空は
まるで今の自分で。
お陽さんが恋いしいな、っていう
村上くんの言葉を思い出した。
今にも降り出しそうな空。
本当に今年の梅雨は
結構降ってるなぁ…
なんて丸山くんの言葉も思い出して。
「(着いて来てってお願いしてみたら良かったかな…)」
さっき見届けた
後ろ姿の彼を思い浮かべ
中へ入った時から
ずっと向けられている目線の元へ…